一週間、魔法使いになります。

「あ、お、おはようございます」


 どう接せば良いかわからないけど、取り敢えず挨拶だけはしておく。

 特に親しくもない親戚の人って、なんか話しにくい……。



 あたしの挨拶を受けた女王さまはおはよう、と微笑んでから、


「柚葉ちゃん。私のことは『叔母さん』で結構よ? 一応親族なのだし、そう呼ばれると堅苦しいわ」


 え……。なんか無礼者な気がしてならないんだけど。このお城の中であたしだけ違う呼び方なんて、目立つ。


「いいんですか? 失礼じゃ……」

「そんなことないわよ、大丈夫。……あ、そうだわ、柚葉ちゃんのお部屋……勝手に用意させてもらったから」

「えっ! ありがとうございます!」


 お城の一室が自分の部屋だなんて……! スゴイ! マジでプリンセス体験だね……。


 一人もんもんと豪華な部屋を想像する。

 やっぱり、来てよかったかも。こんな体験二度と出来やしないもん〜。



 既に幸せそうにニマニマするあたしを見て、女王さま……じゃなくて叔母さんが微笑んで付け足す。


「お部屋に欲しい物があったら遠慮なく言って頂戴ね。取り敢えずと、私好みで部屋をつくっちゃったから」



 じょうお、叔母さん好みって……どんな部屋になっているんだろう。ちょっぴり興味がわく。



 ありがとうございます、ともう一度軽く頭を下げると、女王さまは部屋の入り口に固まったメイドさん達に指示を飛ばした。


「昨日言った三人はミミの補佐よ。柚葉ちゃんにピッタリのお洋服をお着せてあげて」

 
 はい、と元気のいい声が聞こえるとすぐに部屋を出て行った。


 ちょっと待って、お洋服ってあたしもドレスを着せられるの? スカートなんて何年履いていないものか……。今更履きづらいというのに。



「昨日言ったけれど――――ミミ、あなたは柚葉ちゃんのお世話係をお願いね。お部屋に案内してあげて」

「かしこまりました」