『…やっぱり最低ですね、あなた。生徒を脅すなんて。教師失格です。まあでも、私には、関係ないですけどね。』

先生「なんですって?どういうことですの?」

『そのままの意味ですよ。補足するとしたら、いくら木下財閥でも我が家を一家離散にすることは不可能ですよ。逆に木下財閥を潰すことすら可能ですね。』

先生「そんなことありえませんわっ。ならやってみなさいな。」

『いいんですか?ならさっそく…父に連絡するので少し失礼しますね。』

こんな不毛な光景を天河たちは笑いをこらえながら見ていた。

《もしもし、翡翠です。》

鋼玉〈どうした。今は授業中のはずだろ?〉

《うん。今大丈夫?》

鋼玉〈ああ、大丈夫だ。なにかあったのか?〉

《あったと言えば言うんだけどね…》

鋼玉〈翡翠にしては歯切れが悪いな。〉

《いや、鋼玉さんの手を煩わす程の事じゃないから、つい…》

鋼玉〈それでも珍しく電話してきたんだ。話してみろ。〉

《うん…今、数学の授業中なんだけど、その教師が木下財閥の令嬢らしいんだよね。その人、少し頭が弱い人で、ちょっと馬鹿にしたら切れちゃったみたいで、自分は父に溺愛されている木下財閥の令嬢だって言いだして、私の父親の会社なんて簡単に潰せるなんて言いだしちゃって、つい売り言葉に買い言葉で逆に潰すことは可能だって言っちゃいまして…》

鋼玉〈なるほど。分かった。少し待ってろ。〉

《分かった。》



翡翠が電話を切ってから10分ほど経ってから先生の電話がなった。

先生〈はい。どうかしましたか、お父様。〉

父〈お前、何をした?〉

先生〈えっ?特に何もしてませんわ。ただ、授業中に態度の悪い生徒を指導していただけですわ。それがどうかしましたか?〉

父〈どうかしましたかじゃない。お前のせいで今まで契約していた企業から全て契約を切られたんだっ‼〉

先生〈えっ…それって一体どういう…〉

父〈どうもこうもないっ‼お前はもう帰って来るなっ‼いいなっ‼〉

先生〈えっ…お父様、お父様っ!?〉
先生は電話が切れてからも暫く叫んでいた…

『先生、どうかしましたか?』

先生「どうかしたかじゃないですわ…あなた、なにをしたの?」

『何をしたって…先生が言ったんじゃないんですか、出来るならやってみなさいって。だから、頼んだんですよ、養父-チチ-に…』

先生「なんですって…あなた、一体何者なんですの?」

『何者って…私は何者でもないですよ、今はまだ』

先生「それってどういう…」

『そのままの意味ですよ、せーんせい。』

先生「ふざけないでちょうだいっ‼」

『えぇー…ふざけてないですよー。ただやっぱり先生はバカなんだと思いまして…先生は"金城"って聞いてなにも思い浮かばないんですか?』

先生「キンジョウ…」

『そう…金城です。』

先生「まさか…いや…そんな…」

『あっ、わかりました?』

先生「うそよっ。そんなわけないわ。だってご息女の見た目は…」

『やっぱりバカですね。今時、見た目なんてどうとでもできますよ。私の立場は先生ほどかるくないんですよ。自分の身を守る為には変装ぐらいしますよ。』

先生「うそようそようそよっ‼そんなわけありませんわっ‼」

『はぁー…仕方ない人ですね。天河、このクラスはメンバーだけだったよね?』

天河「ああ。翡翠、おまえ……いや、なんでもない。好きにすればいい。」

『ありがとう、天河……先生。しょうがないから見せてあげますよ。』
バサッ…

先生「えっ…う、そ……」

『いい加減に認めたらどうですか?私は、金城鋼玉及び菫青社長の長女…次期社長だって。』