そぉっと目をやれば ある男子を平手打ちしてる私――………。


う、う、う、うっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!?


わ、私が平手打ちなんて……!!!


時が止まったように感じた。
思わず手を引っ込める。


そんな沈黙をやぶったのは まどかだった。


「ちょ、ちょっと かな!!何してんの!?」


そう言われてハッとなり、平手打ちをしてしまった男子を見た。




平手打ちをしてしまった男子は、このクラス1のダサ男の金井はやとだった。


マスクに分厚いメガネ。前髪なんかすごく長くて目にかかっている。

私とは一生関わることのないような『モブキャラ』だった。


と、とりあえず謝らなくちゃ…!


「あ、あの……ごめんなさっ……私…わ、わざとじゃな…「別に大丈夫ですよ。」

…………え………?


そう言うとスタスタと歩いていってしまった……。

て、てっきり文句の一つくらい言ってくるかと…

あーゆー暗い人って怒ったら怖そうだし…



そこでピンときた。


あー、そっか…あの人、私のこと好きなんだ。だからかぁ、そうだよね。好きな人には怒ったりしないもんね。


「ちょっとぉ……かな。何してんのよ…」

「へっ?」

考えてるときに まどかに声をかけられて変な声が出てしまった。


「いくら…えーと誰だっけ。まぁ、あのダサ男くんでも、平手打ちはやりすぎでしょ~…」


「いやいや、まどかが避けなければ金井君に当たらなかったし。それに、金井君は きっと私が好きなのよ。」


「そうやって人のせいにしないの。
…………って、はぁ?
ダサ男くんが、かなを好きぃ?」


「え、だって平手打ちされて怒らないんだよ!?一言もイヤミ言わないんだよ!?
私に惚れてるからに決まってるじゃない!」


「呆れて声も出ないわ……」

そんなん聞こえないもぉん♪
私に惚れてるのは絶対なんだから!♪


「決めた――…!私、金井君に告られたら金井君と付き合ってあげよ!
私、金井君の彼女になってあげるんだから…!」


「はぁぁ………勝手にすればぁ…?」


なんでか溜息をついてる まどかに思いっきりドヤ顔してあげた。


ふっふーん!金井君……
どんどんアプローチして良いんだからね!


私、あなたの彼女になるって決めたんだから…!!