やっと梅雨があけて、少し夏が近づいてる。そんな6月と7月の半ば。
そんな時期は、皆 恋人をつくるのに必死になっている時期でもある。
「かーなちゃーん!!♡」
お昼ご飯を食べ終わり、提出物を職員室に出して、教室に帰る途中
遠くの廊下から聞こえてくる男子複数の声……
「…なぁにぃーー?」
語尾に♪がつきそうな声で振り返り答える私。
「次の休みって暇かなー?映画でも見にいかない?」
上機嫌でニコニコしながら言ってくるのは、名前も知らない男子
「あ~……ごめんね…?私、次の休みは ちょっと用事があって……」
申し訳なさそうに断る。
「そっかそっか~!用事があるなら しょうがねぇよな!」
そう言った男子の制服をキュッとつかみ
「今度…映画いこうね?」
ニコっと笑えば それで終わり。
相手も顔を赤らめて「おぅ!!」って元気に返事して去っていく……。
後ろからは「やっぱ可愛いよなぁ、斎藤かなちゃん」とかって声が聞こえてくる。
―――――
私は学年1モテる斎藤かな。
別にモテることは自覚している。
あんな風に毎日 言われれば嫌でも気づくってものよ。
でも何も悪くないでしょ?あんな風に良いように答えれば相手も悪い気しないんだし。
あ、でも友達だってちゃんといるわよ?
「かな………。」
あ、来た。
「なぁに?まどか♡」
上機嫌で振り返る。
「きっも。そこら辺の男子に言うみたく答えないでよ。」
…………ひどい。
この子は、まどか。小・中学校って一緒だった私の友達。
私が裏表あるのも、まどかは知ってるし一番 気を許してる相手。
ちなみに、まどかには付き合って2年目になる彼氏がいる……チッ。
「でも あんたさぁ、そーやって愛想振りまくのは良いけど………(ジロッ)」
「なっなによ…!」
「彼氏いない歴16年ってのは………」
「言うなぁぁぁぁぁ!!!!!(小声)」
必死に まどかの口を押さえる。
まどかはモゴモゴ言って苦しそうだけど、そんなの知るもんですか!
私の秘密を言おうとしんだから…!
まどかの口を開放してキッと睨む。
「あー、怖い怖い。でも、あんた…そろそろ彼氏くらい作ったらー?」
そんなんで作れたら苦労しないわよ…!!
いや、私 可愛いし?人当たりも良いから告白だって何回だってされたわよ?
……………でも、何か…こう…ピンとこないっていうか……ちゃんと好きになった人と付き合いたいじゃない……
「~~~~ぷっ、やだぁ!かなってば乙女なんだからぁ~!」
思っていたことが口に出ていたらしくゲラゲラと笑う まどか。
「ちょっと……笑うことないじゃない!!!」
まだゲラゲラと笑う まどかを無視し、教室に戻る。
とにかく!!!!
まどかにも馬鹿にされたくないし、彼氏くらいすぐに作ってやるんだから!!!!