「あのねーっ!宏君がねっ!」


「んー」



手の平を広げて、持って来ていたポーチから淡く少しうすいピンクのマニキュアを取り出し、手慣れた手つきで爪に塗る。




んー…、今日の帰りにでも
新しいマニキュア買おうかな…。


こないだ新しい色が出たみたいだし。






「瞳、聞いてる?」


「…あ、うんっ!
聞いてるに決まってるよー」




なんて…、
本当は聞いてなかったあたし

"福田 瞳"(フクダヒトミ)、高校2年生。




そんで、
笑顔で彼氏の話しをしまくる女の子は、
同じクラスの何とか"桃"。
(いつも下の名前でしか呼んでないから、
名字は知らない)



たまたま近くの席で仲がいいだけだ。