On Your Mark

「僕たちは『向かう』んだ。

それも決まり切っている目的地に。

向かうときに必要なこと、それは相手に左右されることなく、自分たちの道を作ることだと僕は思う。

能力が無くなった今、シンプルにそれだけに力を注ごう」


イビルは地図を広げて、珍しく早足になった。

こうは言っているものの、見えない敵に対して少しは焦りがあるのだろう。


「もう一度ここから西に戻り、ペスチニア国側の国境に出る。

あと六時間でここに辿り着けば、とびきりの移動手段が手に入るチャンスがくるよ」


地図の一点を指差し、そこに向けて足を進める。

この歩調ならば六時間に間に合うだろうが、それは三人の歩調での計算。

歩き始めて三十分経つから経たないかという今の段階で、ソラは明らかに疲れ切っている。


「イビル、ソラの体力が限界だ」


最初の出発時は建物にあった土などを運ぶ一輪車を改良して、そこにソラを乗せて運ぶような形で進んでいた。

しかし、ジープに乗せるには少し大き過ぎてきたため、それはジープがあった場所に置いてきてしまったのだ。