君の影に隠れていたい




それがいけない事だと分かっていても、醜い私はどんな手段を使ってでもしがみつくしかなかった。





もし手放してしまったら、私の中で何かが音を立てて崩れ落ちてしまうと思っていたから。






「ねぇ、時間なくなるから早くしようよ」



「あ、ああ......」





私はソファーに深く腰掛けた彼の膝に馬乗りになる形で覆いかぶさった。





和真の首元に両手を回すと、私の腰元に彼の手が添えられた。






もう何回もこんな事を繰り返しているのに、和真は複雑な表情を浮かべて、申し訳なさそうにしている。






彼の考えていることは手に取るように分かるから私はそこに漬け込む。




つくづく性格の悪い女だと思う。





それでも構わなかった。






「彼女に罪悪感とか感じちゃってる?」



「......」



「それとも、私に同情でもしてくれてるの?」





意地悪にそう告げると、和真は怒りに満ちた瞳で私を見つめた。




「怖い顔しないでよ、私がこんなだって知ってて受け入れたんでしょ?」





けれど、私は動じることなくむしろ彼の頬を撫でて今の状況を楽しんでいた。





どんな感情だろうと今向けられている視線は私だけのモノ。





そう思うだけで全身が快楽で包まれていく。





そろそろ遊ぶのもよそう、せっかくの二人の時間が刻一刻と過ぎていく。




私は和真に顔を近づけ、唇を重ね合わせた。



「んっ......」





最初は嫌そうな反応を見せる和真だったけど、舌が重なるにつれ次第に表情が緩んできた。





目を閉じていても和真の反応だけで彼がどうされたいか、どうして欲しいかすぐに察しがつく。





濃厚な口付けを十分に楽しんだあと、私はマジマジと和真の顔をのぞき込んだ。





和真は視線をそらしていたけど、その態度からまだ物足りないようにしている。





「気持ち良かった?」





あえて、彼の嫌がる言葉をかけてやると腰に回された彼の拳に力がこもる。





「見栄はっちゃって、可愛いなぁ〜」





私のスイッチも本格的に入り始めた。




私は余韻が覚める前に彼の膝から下り、床に膝をつくや否やベルトに手を伸ばした。





「ちょ!若菜、それはっ」



「えー......もっと気持ちいいこと、しようと思ったんだけどなぁ〜」





男がこういうのに弱いことは分かりきっている上で私は『気持ちいいこと』と表現した。





和真の複雑そうな表情も可愛らしいけど、見とれている時間なんて私たちにはない。





ソファーの後ろについている壁時計に視線を移すと、既に針が五時にさしかかろうとしていた。




「はーい、時間切れ。んっ......」





問答無用で和真のチャックを下ろし、中から既に暖かく波打っているそれを加え込んだ。




「うわっ!...あっ......んっ!...や、やめ...ろ」





必死に引き離そうとするものの、和真から吐息に混じった甘い声が漏れ始める。




私は彼の反応に合わせて舌を動かしていく。




「あっ!......だ、ダメ。...んっ......はぁ...はぁ.....」





気持ちいいスポットを見つけては攻めと色々試していると私を引き離そうとする和真の手は逆に押し付けるようになっていた。





和真のが、私の中で次第に強く波打ち始める。






(そろそろ、かな......)






口を離そうと頭を上げると、和真はもの凄い勢いでそれを押さえつけた。





「んっ!?んんっ!」






さっきまでソファーにもたれ掛かり、私の成すがままだったのに和真の方から激しく動き始めた。






彼の意外な行動に動揺を隠せなかった私はなんとか離れようと後ろに下がろうとする。






「はぁ......はぁ......あっ、いい......」







完全に本能に目覚めてしまった和真はただ気持ちよさに身を任せ、乱暴に腰を振るう獣と化していた。






ソファーから離れる私を逃さないと言わんばかりに彼は強く私の頭を押さえ込む。






「んんっ!......はぁ、んっ!」






息をつかせる間も与えてくれない。





私はそんな状況にいながらも恐怖以外の何かに体を支配されていた。






それはきっと求めていた相手に求められているという「快楽」と「優越感」だろう。







気を抜けば意識すら持っていかれそうな状況で私は思った。






この時が永遠に続けばいいのに。