大魔法使いの孫




 ー*ー



 ディアン様はある時私に言いました



 「なぜ白魔法使いと黒魔法使いは争わなくてはならないのか…」


 と。


 私はなぜディアン様がそのような事を仰るのかが解らず、



 「それは、そのような運命だったからじゃないのですか?」


 とお答えした


 ディアン様は苦笑しつつ、


 「確かにそうだね。もしかしたら、その様な運命だったかもしれない。しかし私は戦い以外でも解決する道があるんじゃないかと思うんじゃ」



 「戦い以外…ですか」


 「あぁ。例えば話し合いとかで、分かち合える事があるんじゃないかと思うんじゃ。元は親友、きっとどこかで分かち合える気がするんじゃがのぉ…」


 ディアン様は窓から空を見上げながらそう言った


 その後、私に向かい真剣な顔をして話し始めた


 「アルリンお前だけに言うが、拓磨の妹を殺したのはきっと…違う種族じゃ」



 ディアン様が言った言葉は意外なことだった


 「しかしディアン様、この魔法界には現在白魔法使いと黒魔法使いしか存在いたしません」



 「もし、我々の知らないところで新しい種族が出来たとしたら?」


 「新しい種族と申しましても、もし族を作る場合は政府の…ディアン様の承諾がなければ作れません」


 「確かに政府の承諾がない場合で族を作った場合は罪に問われる。じゃが、隠れて族を作るのは簡単じゃ。その新しい族が計画を立て拓磨の妹を殺した。それなら理屈があわんか」


 「確かに…。しかし、どの族が…」


 「…紫魔法界」


 「紫魔法界?」


 「あぁ。この資料を見なさい」


 そう言ってディアン様は、まとめ上げられた資料を渡してきた