大魔法使いの孫




 【side尚】



 「貴方が急に帰って来て驚いたわ。けど、良かった。お父さん、心配していたし」



 親父が心配しているのは、後継ぎぐらいだろ



 「私はね、貴方に家の後をついでほしい。この家には貴方しか後を継げる人がいない」



 結局、母さんもそうだ


 「…その後継ぎは、家の会社の方か?それとも」


 「両方よ」


 「会社の方は継いでも良いが、何故俺が"あれ"を継がなくてはならない」


 俺には関係のない事だし


 「貴方のお爺様の代からの事よ。これは変えてはいけない、これからもずっと受け継がなくてはならない」


 これからもずっと…?


 バカ言うな


 「俺には親父達がしている事について、理解出来ない。何故、人を恨む?奴らが何かしたのか?」


 「…貴方には小さい頃から教育したでしょう?あの種族とは昔から仲が悪い、ただそれだけよ」


 ただ…それだけだと?


 ふざけるな


 「あの種族の当主は病気で死んだ。そして、次期当主は我々の計画のお陰で死んだ。次はその孫を消さなくてはならない」



 「それを俺に受け継げ…だと?」


 「その通りよ」


 「俺は自分の種族が嫌いだ。そんなこともしたくない」



 「…我々の一族はもう時期頂点に立てるのだ。このチャンスを無駄には出来ない。だって昔からの努力だから」


 「じゃあ、俺はその努力を壊させてやるよ…めちゃくちゃにな」


 「…貴方はいつからそんな子になったの?昔は素直に言う事を聞いてくれたのに」


 「そんなの、親父達がそんな企みをしていると知った日からだ」