〜佳奈〜

「優くんのバカ…」
勇気出して誘ったのになんでケータイなんか忘れてんのよ…

あの子…優くん確か理子って呼んでたよね…
仲良いのかな…
理子ちゃんは優くんのこと好きなのかな。
私の方が先に優くんのこと好きになったのに奪われてたまるか!

私と優くんは保育所からの幼なじみ。
優くんはただの友達としてしか見てないかもしれないけど私はずっと今まで1人の男の子として見てきた。
ずっと…ずっと好きだった。
それは今も変わらない。
〜ー〜ー〜ー〜ー〜ー〜ー〜ー〜ー〜ー
靴箱へ着くと誰かの話し声が聞こえてきた。
それは愛しい人の声、優くんだ。
チラッと見るとそこにいたのは…
理子って子。
「はっ…!優くん理子ちゃんと帰りたくてあんな嘘をついたの…?ひどい…」
その声は優人には聞こえないのか理子との会話に夢中だ。
「理子さ、めっちゃ爆睡してたよ?」
「え、うそ〜!寝るつもりなんてなかったんだよ!?」
「あはははっ!そかそか」
なんて楽しそうな会話しながら歩き出そうとする2人。
ひどいよ…
「あ、佳奈!まだいたの!?」
ズキッ…
「あ…うん。片付け手伝わされてた。誰かさんがケータイ探しに行っちゃうから!なんて。あはっ」
うまく笑えてるかな?涙目になってないかな…?
「あー、ごめんな!ケータイあった!このお詫びはまた今度する!カフェでも連れてくから許して!」
パチンと顔の前に手を合わせて謝る優くん。許さないわけないじゃんか…
「絶対だからね!!」
「おう!」
理子ちゃんって子辛そう…
でも、それは私も同じ。片想いは残酷だよ…