私は今、自分の置かれている状況がいまいち掴めていない。
目の前に居るのは、春休み、公園で酔っ払いに絡まれている私を助けてくれたあの人。
なんで学校にいるの?保健委員?あの人が?頭が混乱してもう訳が分からない。

「早く行かないと遅れますよ、城山さん。」
「ひゃ!?ふ、ふぁい!!」
急に話しかけられ、思わず変な声が出てしまった…。

「くっくっくっ…」
わ、笑われてる…恥ずかしすぎる…
「あなた本当面白いですね…」
……え?
目の前に居るのは鈴原先生だった。
ますます訳が分からない。さっきのあの人は?なんで鈴原先生がいるの?

「あ、あの…」
「何ですか?」
「さっき、ここになんかカッコいい人、いませんでした?」
「………。」
あっ…。
鈴原先生に向かって「カッコいい人いませんでした?」なんて聞いちゃったら、
なんだか鈴原先生がカッコ悪いみたいな言い方になっちゃうよね…。
怒ったかな、鈴原先生…。

「あ、あの…!」
私はフォローをしようと鈴原先生に話しかけた。すると、鈴原先生は、履いている革靴を
カツカツて鳴らしながらこちらに近づいてきた。
…ヤバイ。かなり怒ってるかも…。思わず後ずさりしたがドアにぶつかり追いつめられてしまった。
ドンッ
先生がドアに手をつく。殴られるかな…。と思い目をつぶろうとした瞬間

「俺がその人ですよ、城山さん。」