「あ、花高(花野高等学校)だ。しんくいるかなぁ?」


バスからはグラウンドがみえた。

───と、 ある女子にボールが当たりそうになっている。

あぶないっ!

私は目をつぶった。


恐る恐る目を開けてみると、そこに女子をかばうようにして右手でボールを持っている男子がいた。

どきん…
かばってあげたんだ…あの人…



わたしの胸は、何故だか高鳴っていた。



きっと私はこの時から彼のことが好きだったに違いない。


だってこの日から、彼のことを知りたいって思い始めたから。