そっ、それ…

何があったの?

美帆はまるで異様なものを見ているかのように怯えていた。

なんだか気味が悪い。

何なの、一体っ!

思わず声を荒げていた。

いや…だから それ…

美帆の顔には恐怖の色が見える。

私は恐る恐る腕を見た。

異変が起こっているなんて、そんな訳ないと思いつつ再び見た。

やはりそこにあるのは僅かに赤くなった痣があるのみ。

美帆はからかっているのだろうか。

そう思いながらも、ひきつる美帆の顔を見ているとだんだんと嫌な汗が出てきた。

何だというのだ。

からかうにしたって、やり方が地味過ぎる。

それとも、美帆が変な幻覚でも見ているのか。

私の腕がどうしたって言うの?

今の美帆にはちゃんとした返答を期待できそうになかったが、それでも私は聞くしかなかった。

あうっ うーっ うっ うわー

嗚咽を漏らしながら、狂ったように首を振るばかり。

もう自分の腕なんかより、よっぽど美帆の方が怖い。

一瞬、ここから逃げ出したい衝動に駆られた。