気づかれないように取ろう。忍び足で自分の席に向かう。
あ、あったあった!よし、このまま……
ガタッ!
や、やば!イスに足が当たっちゃった!
「おい」
ゆっくりと声のしたほうへ顔を向けた。
不機嫌そうに顔をしかめ、こっちを睨んでいる。
「は、はい……なんでしょうか。」
「さっきの聞いてた?」
「き、ききき聞いてないですよ!はい!朝霧くんが告られてたのなんて全然……あ」
「聞いてたんじゃねーか。盗み聞きかよ。」
「ち、ちがうよ!ただ私は忘れ物があったから、取りに来ただけで……」
「ふーん?」
うぅ……相変わらず怖い……。朝の時とは違って不機嫌だから余計に怖い。そのまま朝霧くんは黙り込んでしまった。
き、きまずい……別に行ってもいいよね?ってもう今から行っても授業始まっちゃってるけど……