『あの、なんかすいません。』


「いえ。どちらにせよ、僕がアイス奢ることになってましたから。」


“さっきのゲームでアイス賭けてたんですよ”と言う先生に“聖職者が賭け事していいんですか”と笑ってしまった。


「……いとさんは僕が嫌いでしょうか?」


『…何故ですか?』


「僕といる時は眉間に皺がよってるので。」


バレてる。
別に嫌いって訳じゃないんだけど…
なんて答えようと考えていると


「いとさんはさっきみたいに笑った方がもっと可愛いですよ。」


ボンッ


『せ、せせせせ先生の方が笑った時、か、可愛いですよ!!』


ギャー!!
私、何言っちゃってるの!?!?
しかも噛み噛みだし!!


「いとさん、行きましょう!先輩達が待ってますから。」


『あ、はい。』


何故かニコニコしながら手を差し出す先生。
私はとっさにその手を握ってしまった。


『せ、先生。誰かに見られたら!!』


「こんな時間に誰も見てませんよ。」


金曜日の夜中近い時間。
周りは真っ暗で街灯が幾つかあるだけでコンビニまで数分の道。
少しイラつくヘタレ教師と二人。
手を離したいはずなのに…


ーー何故かその手を離せなかった。





※土曜日と金曜日、間違ってましたので金曜日に変更しました。