『そんなに前って事はそのくらいから楓の事、知ってたんですか?』
「そうですね。何度かお会いしてますし。」
『そうなんですか。』
コレで二つ目の疑問も解けた。
一年近くも前から知り合いなら“楓ちゃん”って言ってもおかしくないよね?
「おい、いと。」
『なに?』
二つの疑問が解けて、後は何故“いとさん”って呼ばれてるのかだけだと考えてたら浩兄に声をかけられた。
「お前の事だからなんで浩輔に名前呼ばれてるか考えてたんだろ?」
『え、あ、まぁ、そうだけど…』
「お前なぁ…自分で許可したんだろうが!」
私が許可した?
『い、いつ?』
「この間、浩輔が家に来た時。」
覚えてなーい!!
なんて首を傾げながら考えていると横に座っていた先生が
「先日、来た時に“プライベートな時間ですから下の名前で呼んでもいいですか?”と尋ねたら“どうぞ”って言ってくれましたよ?」
『………あっ!料理中に何かそんな事、言ってたような。』
「はい、その時です。」
料理中は集中してるし、先生、声小さいし多分適当に答えたんだ。
覚えてなーい(笑)
「どうせ、浩輔の声が小さいとかで適当に返事して忘れてるんだろ?」
『うっ。』
「図星だな。お前がいいって言ったんだから取り消しはなしだ。」
『……はい。』
これは完全に私が悪い。
浩兄も私の性格わかってるから、そう言われれば断る訳がないとわかってる。
「な、名前は嫌でしたか?」
『別にいいですよ。』
“良かった”とホッとした先生。
そんなに私が怖いのか?なんて考えてしまった。
