「ぼ、僕がやります。」
『いいですよ。』
「すいません…」
『もう謝らないで下さい。私が勝手にやってるんですから。』
“好き嫌いはないですか?”と聞きながらよそった器を先生に渡した。
「ありがとうございます。」
私の方を向いて笑顔でお礼を言う先生。
ドキッ
『い、いえ。早く食べて下さい!』
「いと、顔赤いよー!!」
『鍋で暑いから赤いの!バ楓!』
私はさっきの事を隠すように下を向き、黙々と食べた。
さっきのは何かの間違え。
暑いのに鍋なんてするからどうかしちゃってるだけ。
私は言い聞かせるように心の中で何度も繰り返した。
少し冷静になった私は
『ねぇ。先生はいつから楓と浩兄の事、知ってたんですか?』
「僕は去年の夏から知ってましたよ。」
『って事は付き合い始めた時からって事ですか?』
「はい。」
マヂですか?
私だけやっぱ仲間外れじゃん!!
「いと、黙ってて悪かった。お前、去年の夏、すげぇ忙しかったから言いそびれてさ(笑)」
「いと、ごめんね!」
何度も謝る二人を見てたら怒る気もなくなった私。
『わかった。許す!!けど…』
「「けど?」」
『これからはちゃんと報告するように!!じゃないとバラす(笑)』
“それは困る”とみんなで笑いあった。
