笑ってくれた天使様。
だけど離れる時、少し悲しい顔をしていた。


『全然、励ましてない…あっ!!』


私は立ち止まり、ママがパパが元気ない時にしていた事を思い出して天使様の方に引き返した。
そしてーーー


チュッ


『元気出してね!』


キスをして、バイバイと天使様に手を振り浩兄の元へ向かった。


『天使様…元気出たかな?』


「元気出たと思うよ。いとっておませさん(笑)」


ニヤニヤする浩兄に私は?を浮かべ首を傾げる。
この時の私にはキスの意味がわかっていなかった。


『ひろにぃ、あの天使様、王子様だった!』


「王子様かぁ(笑)」


笑った顔が王子様に見えたのだろう。
たけど五歳の私の記憶は薄いもので翼のイメージだけが残ってしまった。


天使様で王子様。
私の初恋でファーストキスの相手。
そんな彼が今でも好きなんです。