裏道万屋の事情

遊ぶ話で俄然やる気になったあたしは部屋で勉強を開始。

まずは数学の問題集から手を付け始めた。








―――のだが…。










「ここは三角関数の相互関係の公式を使う。」

『三角関数………??』

「うん。だからこの問題の場合はtanθ=………。」



ひいぃぃい〜〜〜!!!!

何か途中から暗号だよ?!


全然分かんない!!!!!!



「分かんない??」

『…はい。全く……。』

「この手の問題はこの公式暗記してないと解けない。」


うあ〜〜〜〜〜

くっそこんな事ならもっと真面目に勉強しとくんだったぁ!!!!



って言うだけで、実際はやっぱりやらないけどさ。

でももうこれバカ丸出しじゃんあたし……。



『あたしやっぱダメだわ…。ちゃんと勉強できない人間みたい。』



折角やる気を出してやって嵐も教えてくれてるのに、分からない。

そのせいで一向にページが進まないことに、あたしはちょっとイライラし始めてしまう。

全部自分が悪いのに…。



「分からないとこがあるのは当たり前だよ。」

『…へ??』

「俺だって全部の問題を完璧に解けるわけじゃないし。最初から全部できるんだったらこんなのやる必要ない。学校なんていらない。できないところを見つけてできるようにしていくのが勉強なんだよ。」

『嵐……。』

「菜子は他の人よりできないところを多く見つけてるだけ。確かに多い分だけ時間はかかるけど、ちゃんとやれば菜子にだって絶対できる。」



不思議だ。

嵐がそう言ってくれたら、何だか本当にできる気がしてきた。

さっきまであんなに、『自分にはできないんだ』って思ってたはずなのに…。

要は気の持ち用が大事って事かな。



『うん…分かった。あたし頑張ってみるよ。』

「うん。」