裏道万屋の事情

「おーい菜子、もう大丈夫だ。こっち来い。」


輝さんに呼ばれ、愛羅と一緒に輝さん達の元へ行く。


不良達は二人に後ろ手をロープで縛られて何もできない状態になっていた。


「おい。お前がリーダーか??何でこんな事をした??」

輝さんは松風 蓮に尋ねる。


「…は??何であんたに教えなくちゃなんない訳?!」


まだ強気だよこいつ!!


「まぁそう言うなって。悪いがどっちにしろお前等は警察に連れてってもらう。その前に訳くらい聞いてやるよ。」

「………。」

「どーせ警察に話してもまともに理解してくんねぇぞ??悪いもんは悪いで処理されるからな。俺等は警察じゃないから話してみ??」

「……俺ん家には中学のときから両親とも帰って来ない。俺のことはほったらかしでそれぞれ違う愛人作ってんだよ…。中卒の俺はまともに職に就けない。だから金が無い。全く不幸なもんだ…。けど、金さえあれば俺は幸せに生きていける…!!…もう親なんか知らねぇ。ここにいるのは、みんな俺と同じような境遇の奴等ばかりだ。」

「そーか…。辛かったな。」

「…はんっ…口だけならどうとでも言えんだろ??お前に俺等の気持ちなんて分かんねぇだろーが??!!」



松風 蓮…。

他のヤツも…。


みんな本当はこんなことしたくないんだよね――??

どうしようもなくなってやっちゃったんだ……。


そう考えると、あたしは胸が少し痛んだ。