裏道万屋の事情

「オラ、さっさと付いて来いよ。大人しく付いてくれば何もしねーから。」


そう言って前髪の長い不良があたしの腕を掴んだ。


『触んな。』

「…はぁ?!」

『触んなっつってんのが聞こえねぇのかよこの鬼太郎!!!!冗談じゃないっての!!!!!!』


あたしは腕を掴んできた鬼太郎の腕を掴み返し、そのまま――


「ぐえっ??!!」


背負い投げ、一本!!!!


「慶太っ?!てんめぇ何してくれてんだよ!!!!」


他の一人があたしに掴み掛かろうとしてきたのをかわし、そいつの背中に思い切り一撃をたたき込んだ。


「ぅあっ!!!!」

『別にただの背負い投げしただけです。』


その不良は倒れ込んだ。


「なぁ菜子ちゃん??大人しくしてくんないとさ〜。仏の顔も三度まで、って知らない??」


松風 蓮がそう言うと、他の不良達は刃物や鉄パイプを手に取りだした。


………マジ―――?!

さすがのあたしも凶器を持って向かってくる人の相手はしたことがないよ!!!!


あたしは不覚にも少し怯んでしまった。



「あっれ〜??さっきまでの威勢の良さはどこ行っちゃったの??まぁいーや。一発殴って眠らせて連れてくぞ。」


すると、鉄パイプを持ったヤツが近付いてくる。

…どーする……?!

鉄パイプの相手にはどう対抗すれば良いんだっ??!!


「…悪いが、大人しく寝てなっ…!!」


鉄パイプが振り上げられた。



まずいっ――――!!!!


あたしは反射的に目をギュッとつぶった。