お茶を持ったあたしは客間に入った。


『失礼します。』


………っ??!!


そこには依頼人らしき男性がソファに座っていた。

そこまでは普通だが、問題はその両脇だ。
男性の両脇にはサングラスに黒のスーツという、いかにもボディガードですけど何か??的な男性が立っている。

この依頼人…どこぞのお偉いさんか……??

とりあえずあたしは持ってきたお茶をテーブルに並べた。


『どうぞ。』

「ああ、お構いなく。…お嬢さんも万屋をしているのかい??」

『あ…いや。違うような違わないような…??』

「そいつは叶 菜子。ちょっと訳あって家で預かってるんだ。」

「叶……??どこかで聞いたような………もしやお嬢さん、あの空手の叶の娘さんかいっ?!」

『あ、まぁ……はい。』

「あ??何お前有名人なのか??」

「えっ?!菜子ちゃんてあの叶道場の娘さんだったの?!全然気付かなかったよ。」

『有名…なんですかね??まぁ色んな意味で…。』


やっぱり、何だかんだで家の道場は強いということでこの辺には知られているらしい。

極め付けにはあの両親の社交性だ。知らない人にも平気で声を掛けて話しだすらしい。


――恥ずかしいからやめてほしい。


「そうか…お嬢さんがねぇ…。じゃぁ私からの頼みなんだが、菜子さんも一緒に私の依頼を手伝ってくれないか??」

「こいつにっ…?!」


あたしよりも先に輝さんが驚く。


「…ああ。まぁまず、私の依頼内容から聞いてほしい。」


依頼人の男性は話し始めた。