『じゃあそろそろお店戻ろっか。きっとみんな心配してるよね??』



あたしはスクッと立ち上がる。



「………。」

『ほら、行こうよ。』



あたしは嵐の腕を引っ張って立たせる。



「………。」



何故か無言であたしの顔をじっと見つめる嵐。



『…何??あたしの顔に何か付いて――…』

























言い終わる前に何かがあたしの頬に触れた。



それと同時に嵐の髪があたしの顔に当たる。



『………。』



あたしは口を開けたままポカンとした。



今のって………


今のって……………





『いいいい今、今…ななな何した………??』

「んー………チュー??」



あっけらかんとそう答える嵐。



顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かる。


あたしは口をパクパクさせた。



『ななな何でっ………?!』

「よく分かんないけど、何かしたくなっちゃった。………口の方が良かったかな…。」

『っ?!』



平然とそう言う嵐にあたしは失神寸前。



やっぱりさすがの嵐もそういうお年頃なの?!


天然のタラシかこんチクショー!!!!



嵐はあたしの手を引いて歩き出した。










「(本当はさっき、人工呼吸で実質口にしちゃったんだけど…これはまだ言わない方が良いのかも。)」



嵐が心の中でそんなことを思っていたなんて、もちろん今のあたしは知る由もない。