裏道万屋の事情






『はぁ…着いたぁ。……にしても、嵐どこにいるんだろ??』



あたしは辺りを見渡す。


嵐どころか、誰もいる気配がない。



『そういえば、この美空岬って穴場の観光スポットだって樹里が言ってたっけ。』



確か樹里によると、“かなり高い位置にあることから、美しい空に近付けるような岬”ということが美空岬の由来らしい。



そこは確かに、空と海が一望できる美しい眺めの岬だった。





『けど………』



あたしは岬の先端の方に行って両手を地面に付いてしゃがむ。


そして下を覗いてみた。










――ヒュオオオォッ…――










強い風が吹いている。



『ひっ…ひえぇ〜〜…本当に超高い!!これ落ちたらヤバイんじゃない?!』



ってか落ちたら海だし、どちらにせよあたしじゃ死ぬよこれ!!



まぁあたしに限って落ちるなんてそんなヘマはしないけどさっ。



ははははは。



あたしは苦笑いを浮かべつつゆっくりとそこから後ずさる。















――ジャリッ……――



後ろからこちらに近付いてくる足音が聞こえた。



『嵐…?!』



あたしは立ち上がってバッと振り返る。