裏道万屋の事情

「美空岬に、誘き出したんスよ…。」

「アラシから預かったものだって言って、俺達が書いた手紙を見せて…。」

「そこには俺達の仲間が待機してるんスよ…。で、あの高さの崖から突き落とせば少しは反省するんじゃないかと思って…。」

「まぁでも下は海だし、泳げば岸にはたどり着けるから死にはしないと――…」

「何だって??!!」



そこまで話を聞くと、突然諒が大声をあげる。



「ど…どうした諒…??」



輝明がそう聞き返して諒のことを見ると、諒は青い顔をしていた。


どうやらただ事じゃない様子。





「駄目なんだ…!!


あいつ………


























泳げないんですよ!!!!」



「「「「「!!」」」」」



輝明達も男達も驚愕の表情を浮かべる。





――その瞬間、嵐が物凄いスピードで走り出していた。



「嵐っ!!…くそっ!!ユウ、お前は店に戻れ。みんな抜けると人手が足りなくなるだろ。」

「…………分かった。ついでに店でこいつ等を捕まえておくよ。」

「「ひぃっ!!!!」」

「あぁ、頼んだ。行くぞ、諒!!」

「はい!!」



輝明と諒も美空岬へと走り出した。