今日の仕事を終え、片付けをしながらあたしは弘さんと話していた。



『――それで、嵐が男の腕を掴んだら「覚えてろよ!!」って言ってどっか行ったんですよ。』

「へぇー、嵐くんが??」

『そうなんですよ。あたしが動くよりも先に。何でだろ??』



よく考えたら他人に無関心な嵐が助けたなんて驚きだよね。

何があったんだろ。



「…嵐くん変わったねー。まぁ、きっとその理由は……」



そう言って弘さんはニッコリと笑いながらあたしを見た。



『…??』

「…菜子ちゃんこのゴミをゴミ捨て場に運んでもらっても良いかなー??」

『あ、了解でーす!!』



あたしはゴミ捨て場に向かった。

























「不良に立ち向かってまで誰かを助けるなんて、どこかの誰かさんの影響に決まってるでしょー??



…やっぱり、嵐くんは心の奥底で菜子ちゃんのことを覚えているんだね。」



早く…


…早く、菜子ちゃんのことを思い出してあげてほしい。



夜空に瞬く星達を見上げながら、弘久はそう願わずにはいられなかった。