それから数日が経ち、嵐は退院することになった。


輝さん、弘さん、嵐、あたしは病院を後にした。



「嵐くん、家に寄って行きなよー。」

「なんなら今日は泊まってけ。」

「うん。」

『久々にご飯4人分かー。』



何か視線感じる。

すっげぇ感じる。



ちらりと嵐を見るとあたしをめっちゃ睨んでた。





ってかさ、記憶喪失云々よりも…


何でこんな嫌われてんのあたし……??



そうこうしている間に家に到着。



輝さん、弘さんが中へ入っていくのに続いてあたしも入ろうとしたそのとき――


――ガシッ――



………ん??



振り返ると嵐に右腕を掴まれていた。



「…何であんたがこんなとこまで付いてくる訳。」

『いや、だってあたしの今の家ここだし。』

「は??」

『は??じゃなくて。嵐が勝手に忘れてるんじゃん!!』

「何の話。」

『……………。』



あたしはバッと顔を俯かせる。


記憶が抜け落ちてるから仕方無い。


それは分かってる…!!



分かってるんだけど…!!


あたしは顔をあげた。



「何勘違いしてるか知らないけどこの家、は――…」



嵐はあたしの顔を見た瞬間、表情が固まった。


………何??






















「あんた……何で泣いてる…」

『………っ!!』



言われるまで全く気付かなかった。



――自分の頬に涙が伝っていたなんて。