裏道万屋の事情

『何すんの愛羅ぁっ??!!』



あたしはひりひりする頬をさすりながら叫ぶ。



「最初から諦めるなんて、菜子らしくないですよ。」

『え??』

「元気で前向きな姿勢の菜子が、私は大好きなんです。忘れられたからって何ですか??だったら思い出させるまでです!!いつもの菜子ならそうするはずですよ。」



愛羅はそう言うといたずらそうな笑みを浮かべた。



そうだよ…あたし…


何もやってないのに最初から諦めるなんて…









本当あたしらしくない…!!



『愛羅…。』

「はい??」

『…ありがとう。目ェ覚めたよ。』



あたしはそう言って愛羅に向かってニッと笑った。



「菜子、頑張って下さい。あたしはずっと応援していますから。」



愛羅もあたしに微笑み返す。



愛羅に会いに来て良かった。



『じゃああたし行くよ。絶対負けない…!!』

「その意気ですよ!!またいつでもいらして下さいね。」

『もちろん!!』



あたしはお見送りは大丈夫だと言って愛羅の部屋で愛羅と別れた。



部屋を出て玄関に向かっていると――




























『岸田さん!!』

「…戸川です。」



七瀬川さんのボディーガードの戸川さんがいた。



ってか片方だけじゃどっちか分かんないし!!


いつも立ち位置で判断してたしなぁ〜。