「すみません、ちょっと良いですか。」



その声に振り返ると、30歳前後くらいの少し若めの医者が立っていた。



「羽野さんの御家族の方はいらっしゃいますか??」



あたしはその言葉に凍りついた。


え……“御家族”って――


嵐…そんなにヤバイの…??



「俺とそこの2人が羽野 嵐の家族みたいなもんだ。」



輝さんが弘さんとあたしも指し示して医者に伝える。



「そうですか。では、その3名は付いてきてもらって良いですか??」

「あぁ。ちょっと悪いが、諒と樹里と響はここで待っててくれ。」



3人は心配そうな顔をしながら頷く。


あたし達は医者の後を付いていった。



























あたし達は個室に通された。



そこにはベッドに横になっている嵐がいた。



『…嵐っ!!』



駆け寄ろうとするあたしを医者が止める。



「今は安静にさせなければなりません。」

『……………。』



俯くあたしの頭に輝さんが手をのせた。



「…大丈夫だから。」

『………はい。』



あたしは気分を落ち着かせてもう一度嵐を見た。



どうやら嵐は普通に寝ているようだ。


良かった……。