「っていうか、てっきり君被害者なのかと思ったし。依頼で来てる訳だよね??名前は??」

『うん。でも実際拉致られてたから助かりました、はい。あたしは叶 菜子。』

「菜子か。よろしくー。」

『ところで、これから――』
































「菜子ぉぉぉおおおおっ!!!!!!」



だんだんクレッシェンドであたしを呼ぶ声が聞こえた。(※徐々に近づいて来るためだと思われる)



『…樹里ちょんっ!!!!』



そこへ現れたのは浴衣ではなく私服の樹里だった。

流石はバスケ部エース。


樹里は尋常じゃない猛スピードであたしの目の前まで突っ走ってきた。



「菜子ぉっ!!!!あんたって奴はぁ――!!!!!!」



凄い勢いで両肩を掴まれ、咄嗟に目をギュッと瞑る。

また怒鳴られるっ!!

雷落ちるっ!!!!!!


























…………………………。



…………………………??


















何も起こらない。







と、そのとき――


















あたしの両肩が震えるのを感じた。



震えてるのはあたしではなく――



「何………誘拐なんかされてんのっ…!!」

『樹、里………。』



目を開けるとあたしの両肩を掴んだまま俯き、震えている樹里の姿が目に映った。

樹里の顔から光る雫が落ちる。



「どんだけ…心配したとっ…思、ってっ……!!!!」

『樹里………ゴメン…。あたしは無事だよ。』



あたしはそう言って樹里を抱き締めた。



「無事じゃなかったら…タダじゃ、済まなかったんだからっ…!!!!」



『…ありがとう。』





心配かけてゴメンね。

樹里、…ありがとう。