「…はぁっ、…姉さん!!!!」

「あら、ひぃ。どうしたのそんなに急いで。もう誰かの手当ては終わったの??」

「そんなことより――」












「…そんな慌ててどうした??」



必死過ぎた光は声を掛けられて柊以外の誰かも一緒にいることに気が付いた。



「……え……。」

「あ、まだひぃは会ってなかったわね??」



言われなくても何となく予想がつく。



「あぁ、悪い。紹介が遅れたな。俺は佐野さんの依頼で来た万屋の桜庭 輝明だ。」

「あ…はい。佐野 光です。あの、万屋さんは他の仲間といつも別行動してるんですか??」

「いや、今日はちょっと色々あってな。やむを得ず、ってな感じだ。…それより、何で万屋が俺だけじゃないってことが分かった…??」

「あっ…そうだ、桜庭さん!!大変なんです!!!!叶 菜子さんが――多分誘拐されたんです!!!!」



光は菜子の巾着を輝明に差し出す。

それを見て輝明にも緊張が走る。



「菜子が誘拐されただと…??!!…詳しく聞かせてくれ。」

「実は―――」



柊が心配そうに2人を見つめる中、光は今までの菜子との経緯を話した。



光が話し終えると、輝明は携帯を取り出しておもむろに誰かに電話を掛ける。



――ブーッブーッ――



突如、菜子の巾着が震え出す。



「…携帯がここにあるんじゃ、菜子との連絡は取れそうにねぇな。」



そう言うと、輝明はまたどこかに電話を掛けた。