裏道万屋の事情

「…疲れた………。」



「…お腹空いた………。」



言ってもどうにもならないけど、言わずにはいられなかった。








俺…どうしてこんなことに――??








しかし、もう考える気力さえ残っていなかった。





もう俺ダメなのかな…


ここで死んじゃうのかな……

















目を閉じかけたその時、





















「おい、こんなとこで何してんだ??お前。」



自分の頭上からそんな声が聞こえた。


顔を上げると、そこには知らない男の人が立っていた。


何か言いたいけど、そんな力はもう無い。



「元気…は無ぇみたいだな。喋れるか??」



俺は微かに首を横に振る。



「…そうか。とりあえず家来いよ??余裕は無ぇけどガキ一人に飯出すくらいはできるぜ??」



その人はそう言うと俺に向かって手を差し伸べた。





『知らない人に付いていってはいけない』


昔からそう教わっていたけど、そんなこと考える余裕はこの時の俺には無かった。





だって、この場に頼れる人はその人しかいなかったから…。





俺は力を振り絞って右腕を持ち上げ、差し伸べられた手を握った。





それと同時に、俺は意識を手放した。




























後から考えてみたら、知らない人だからとか余計なことを考えずにすぐこの選択をして正解だったと思う。















なぜなら――…

































あなたが俺の一生を救ってくれたのだから…。





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