裏道万屋の事情

しばらく歩いたが、そこは自分の全く知らない土地だということが分かった。



いくら歩いても、どこを歩いても、初めて見る景色。





ここはどこなんだろう…??





おじさん…


おばさん…































ずっと歩いている内にいつの間にか日が昇っていたかと思えば、それももう大分傾いていた。



もう夕方か――…





その時俺は商店街らしいところを歩いていた。













「輝っ!!!!」



その声に足を止め、俺はすぐに振り返った。



「ママ、早くー!!!!」

「ちょっと輝希!!人の迷惑になっちゃうんだから走り回らないの。」

「はぁ〜い!!」



振り返った先にいた親子は手を繋ぎ、並んで歩いていった。



「……………。」



一瞬おじさんとおばさんが迎えに来てくれたんじゃないかと期待してしまった。


何だかその明るい雰囲気の商店街にいたくなくなって、俺は目についた裏道へ入った。





「…もう、何か疲れちゃった…。」





早朝から歩きっぱなしな上、何も食べてなくて俺は体力的にも精神的にも限界だった。





薄暗い裏道の途中、俺は座り込んで壁に体を預けた。