裏道万屋の事情

「幸せは掴もうと思えば自分でいくらでも掴めるんだよ。…俺にも。………ライにも。」



そう嵐が言うと、この人…ライはあたしが初めて見る真顔になった。















しばらく沈黙が続いた。








そして沈黙を破ったのはまた笑みを浮かべたライだった。






「失せろ。」



その一言で。






「うざいんだよ。『幸せ』とか、『大切』とか。マジ目障り。」



『…ざっけんなっ!!!!』



さすがに限界。

あったま来た!!!!!!



『さっきから黙って聞いてりゃ何なのあんた!!嵐がこんなにあんたのために話してんのにっ!!このネガティブ思考め!!!!!!』

「菜子。」

『大体何で──』

「菜子。もういい、ありがとう。」

『っ…………。』



嵐にそう言われたら、もう何も言えないや。

所詮あたしが二人の問題に割って入ってる訳で。

あたしにはライにとやかく言う資格なんて無いのかもしれない。











…でも、どうしても抑えられなかったんだ。



普段からは想像もつかない、必死に説得している嵐を見ていたら…



勝手に口が動いちゃったんだよ………。