『きききき樹里ちょんっ!!!!あれ嵐と諒だよねぇ?!ってか何で闘ってる訳??!!』



ビックリだっての!!!!

だって帰ってきたら二人が闘ってんだよっ??!!



『とにかく止めなきゃっ!!』



あたしが二人のとこへ駆け出そうとすると樹里に腕を掴まれる。



『樹里っ…?!』

「やらせときなよ。」



えっ??
樹里何言ってんのさ??

いつもみたいに止めなくて良いの……??



『でも……、』

「菜子。」



樹里があたしに真剣な眼差しを向けてくる。



「男同士の闘いにはプライドってもんが懸かってるんだよ??女が首を突っ込むとこじゃない。」

『………。』

「男と男の闘いに女の手出しは無用。あんたも空手やってんなら一対一のとこに乱入しちゃいけない事くらい分かるでしょ??」

『………はい。』



樹里の言ってる事は的確だ。
ここはあたしの出る幕じゃないんだ。

あたしは二人の闘いを見守った。

見たところ――互角だ。



ってか、嵐ってあんなに強かったの…?!

嵐が闘っている相手である諒の強さは、昔から手合せをして来ているあたしが一番よく分かっている。

諒は並大抵の強さではないはずだ。
そしてあれは絶対に手加減をしていない事も分かる。


しかも嵐が空手できるなんて聞いた事無いよ?!



あたしが色々考え込んでいたその時、二人は同時にバッと間合いを取った。



「…お前、強いな。」

「…そっちこそ。」

「なかなか決着着かないしあいつ等も戻ってきたみたいだし…この勝負お預けにしねぇっ??」

「いーよ。」



二人は構えを解いてお互いにがっちりと握手を交わしていた。

周りからは歓声があがり、その場は一斉に拍手に包まれる。





――二人が笑い合って握手してる姿から、あたしは何故か目が離せなかった。

















…って何この結末っ…??!!



教訓 12... -end-