「そうかいそうかい。君は女性なのか!!随分とお転婆さんだねっ!!まぁ精々頑張りたまえ、諸君っ!!」


はっはっはっと笑いながら復活したエセ貴族が言う。

凄い傲慢さだ…。


「それにしてもよー…何でこの店はそんなイケメンにこだわってんだ??」


輝さんナイス!!あたしもそれ聞きたかった!!!!


「僕達はお客様に喜んでいただくことを第一に考える。ルックスもその一環なのだよ??諸君もその容姿を存分に生かし、お客様にご奉仕したまえ。まぁ、僕程の美貌は持ち合わせていないようだけどね!!」

エセ貴族はまたはっはっはっと高らかに笑いだす。

どーやら傲慢なだけでなく筋金入りのナルシストでもあるらしい。

『王子様みたい』なんて一瞬でも思ってしまった自分がすこぶる憎い………。


「何かお前勘に触るな…。」

「事実を述べているだけさ。……そうだっ!!」

「な、何だよ…??」

「今年の海の家のイベントは僕達の人気ランキングにしようじゃないか!!お客様に僕達の中で一番気に入った人を投票してもらうんだ。まぁ当然僕が一番だろうけど、そうすれば僕の言った事も納得できるだろう??なぁ良いだろう、ユウ??」

『はあっ??!!』


何故そうなる?!
こいつの思考回路…全く理解できないっての!!!!


「何でそんなめんどいもん…!!ぜっってぇ嫌――」

「それ良いじゃんっおもしろそう!!乗ったぜ★」

「当たり前だろう??僕が言ったことなのだからね!!」


輝さんの言葉を遮ってユウさんまで食い付く。
こうなると厄介だ。

勝手に着々と話を進めていくギャル男とエセ貴族。

この人達がやると言いだしたら絶対やるのだろう。

何て自分勝手な……!!って、ここの経営者だから文句は言えないか―――。

はぁ……………………。



『輝さんも弘さんも、よく万屋なんてやってますよね…やっぱ尊敬しますよ。』

「…俺、ここに来て初めて万屋辞めたいと思った。」

「まぁ仕事は楽じゃないって事だよねー。」

「…輝さん辞めちゃうの??」



うーん……

大人の世界は色々大変だな、うん。