病院の待合室で待つ奈津美と私を待っていたのは、残酷すぎる報告だった。
「残念ですが……」
 白衣を着たお医者さんがそう切り出す。
 そこから先の言葉は、もう何も頭に入ってこなかった。
 悪い夢かもしれない、と何度も思い込もうとしたけれど……。
 これは、紛れもない現実だ。
 もう、武文と文彦は戻ってこない。
 二度と会えないのだ……。
 隣で奈津美が泣きじゃくっているので、私はどうにか自分を保つことが出来た。
 奈津美がいなければ、きっと取り乱して、変な行動を取っていたことだろう。
 それでも、悲しみの度合いが激しすぎて、私はしばし呆然としていた。
 これまで築き上げてきた幸せが、一瞬にして崩れ去ったことを感じながら……。