†Sevens Hope†シーズンⅠ

ジョット『だ、脱走?できるのかそんなこと…!?』

平然と話すゲイルの言葉に耳を疑った。

ゲイル『あぁ、この地区を囲む金網…高さこそあるがそんなに頑丈にできていない。だからといって丸腰でいけば米兵に撃ち殺されるだろうが。』

ゲイル『そのためにこの車を使う。その前にお前の足を止血しろ…跡をつけられたら困る』

今まで必死で気づかなかったが
足からは血が出ている…
そして俺がきた道の地面に赤い印のように続いていた。

アニスは腰につけた布切れをさらに破りジョットの足首に巻く。

アニス『消毒はないけど止血ならこのくらいでなんとかなるでしょ』

ジョット『いててっ…もっと優しく…』

アニス『男の子でしょ!!それよりも早くここを出ましょう…』

ゲイルの車は米兵が移動の時に使う
ボロボロのトラックのようなものだった、
中は埃っぽくシートは砂だらけ…

ゲイル『この先の囲いは今警備が薄い。突っ込んで突破しとりあえずこの地区から北上してまだ米兵が薄い元新潟県までいく。』

そういってエンジンをかけるゲイル
はたしてそんなうまくいくものなのだろうか…

ドゴォン!!

そう考えたとき近くの家が爆発した

???『ヒャハハハハハ!奴隷爆弾だ!ほーれ!ほーれ!』

なにか大きなものを背負った日本人たちが次々に家の中に走っていく
こちらの車に向かってくる人もいる…

背負っているものは爆弾なのだろう。
奴隷がはいっていった家は次々に爆発し、炎をあげる

奴隷『た、たすけてくれぇぇぇえ。おらも車にのせてくれぇぇぇえ』

そういって爆弾人が全力疾走してくる

ジョット『ゲ、ゲイル、あの人は助けられないか??』

運転席でなにやらモニターをサワッテイルゲイルに問う

ゲイル『今の俺達では無理だ。力がない…それにそいつを乗せた瞬間おれらが爆発してしまうだろう。さあのれ』

ジョット『くっ…ちくしょう!』

助手席に乗り込む
アニスは後部座席にいつのまにか乗っていて後ろの窓から爆弾人を見ている

アニス『はやく!人が近くまできてるよ!!』

どんどんとシートを叩くアニス

それをため息をつきながらハイハイと
アクセルを踏むゲイル

爆弾人『~~~!!』
なんと言ったのか聞き取れなかったが
発車した瞬間に…
それは大きな爆音と共に散った


ジョット『くっそぉ!くそくそくそぉ!!狂ってるぜこの世界は…』

俺は窓を大きく何回も叩いた。
日本国がなくなった事、奴隷扱いされていたこと
そして誰一人救えなかった自分自身の事…

ゲイル『気持ちはわかるが落ち着け…俺もこんな世界うんざりだ…』
無表情で前を向いているゲイル

アニス『こんなこと今まで無かったのに…どうして…』

後ろで涙を流しているのだろうか声が震えているアニス

ゲイル『米兵に聞いた話だが今日本を共に落とした米と中が今度は元日本の領土、奴隷の数を争って戦争中らしい。』

ゲイル『迷惑なことにその戦場が日本ってところもめんどくせぇ…』

ジョット『だったら…こんなセカイ…俺がぶっ壊してやる…』

ゲイル『なに?』
今まで表情1つ使えなかったゲイルのまゆがうごく

ジョット『もともとここは日本。米のものでも中のものでもない!俺は…どっちも駆逐して奴隷となってる人達を解放させる』

そんなことは不可能だ、
できたら最初からやっている。
それを奴隷地区からたまたま脱走できる小僧の戯れ言だ
自分でもわかっていた。でも言わなきゃいけない気がして…

ゲイル『ハッハッハ!そりゃいいなぁ!ジョット…といったか?その話俺も乗った!日本の再設立!いいんじゃね?ハッハッハ』

大笑いするゲイル

ジョット『おちょくってんのかよ?…無理だろ…』

ゲイル『すまんすまん、ヒヒ…しかしこれから俺が向かっているところに着けば案外叶うかもなと思ってよ…ハッハッハ』

どういうことだ?
そもそもこのゲイルというやつ…信頼できるのだろうか、 何者なのか?
しかし今は眠い。瞼が鉛のように重く感じる。

意識が遠退いてくるが 囲いの網にぶつかった衝撃ですぐに目を覚ました