ーーー………


「莉子ー」


あれからそろそろ1年。

病院に入りながら挨拶をする。


「はぁ…返事返ってくるわけねーよな」


この1年毎日きた。

毎日挨拶をしながら病院に入る。
……一度も返してはくれないけど。


「今日これ持ってきたんだ。丁度見つけてさ」

"これ"とは付き合い始めた頃俺がプレゼントしたペアのイヤリング。

有栖に聞いたところすごい喜んでくれてたらしい。

莉子のと俺の。

莉子に俺のをつけて、俺は莉子のをつける。

「莉子……そろそろ1年なんだよ……このまま…目を覚まさないつもりかよ」


またこの胸にあなが開いたような喪失感。

無性に強くなって。

悲しくなって。

莉子に縋りたくなる。


「莉子……莉子……莉子………」


たまにでてくる発作のようなもの。

頬に温かいものが伝って止まらなくなる。
だから莉子の匂いのする布団に顔を埋めて涙を流す。


始まったら長い時には1.2時間そうしていた。



「莉子……莉子……り………」


ふわっと頭を撫でる暖かな手。


「はや…と……泣かないで………側にいるって約束したんだから……」


愛おしい人の声。

目を覚ました…………?



「莉子っっっっ!!!」
「隼人………」


ぎゅうぎゅう力加減を忘れて抱きしめる。