「遅いんだよ、藤堂平助……
平助の分際でこの俺に全員分の稽古を押し付ける気?……冗談でしょ?」



壬生寺の境内には、十人ほどの隊士と、着物を派手に着崩した男の人が立っていた。



「……沖田さん」



初めて会った時はもっとシャンとしてて、服もきっちりと着てたはずなのに……。



あの真面目な感じは一体どこへ……。



私達の到着の遅さに、ご立腹気味なのが、沖田 総司さん。



藤堂さんと一緒に私の介抱をしていてくれた人だ。



確か沖田さんは天然理心流の使い手で、その腕前も組み内で一二を争うとか。



「なぜ俺だけ睨む……というか、遅れたのは俺の隣にいる誰かさんを待ってからだし?」



「答えは聞いてない」



「聞けよっ‼︎」



藤堂さんと沖田さんは歳が一つ違いという事もあってか、仲が良かった。



あ、沖田さんが上で藤堂さんが下らしいです……はい。