「お前なぁ……。起こしに来てくれたこのオレに礼の一つもないワケ?」

そう言ってコイツ不服そうな顔をした。

「うん、ありがと。楓。」

コイツこと幼馴染みの楓にお礼を言うと楓は満足げな顔に変わる。
ったく……。
それより…

「着替えたいから出ててくれる?」

クローゼットから制服を取り出しながら言う。

「嫌って言ったら?」
「は?」

楓の方を見るとイタズラ顔。完全に「からかってます。とっっっても面白い(笑)」と顔が言っている。 

「警察につき出す」
「うわ、恐っ。悪魔か」

ジト目でずっと見ていたらヒラヒラと手を振って私に背を向けた。
「早く降りてこいよ、ア・ク・マちゃん♪」

咄嗟にそばにあったクマのぬいぐるみを楓に向かって投げつけた。
が、当たる前に楓は部屋から出てしまって、クマのぬいぐるみはドアに当たってポトリと落ちた。
ゴメンネ、クマのぬいぐるみ……