そしてヴァレンティーヌは目を輝かせながら話し始めた。



「…この前の夕方、私はいつものように岩に登って歌ってたの。
そしたら船に乗った一人の男の人がいて、その人は悲しそうな顔をしてたの。
あまりに綺麗だったからずっと見てたんだけど、目が合ったの!ずっと逸らせなかったわ!誰かに呼ばれて船の中に入っていっちゃったみたいだけど…ブライアン様って呼ばれてたわ。」



それを聞いたエリックは、ブライアンが結婚式に失敗した日だと思っていた。




「それって何日前くらいの話?」


エリックが聞くと、ヴァレンティーヌはしばらく考えて答えた。




「…きっと今からちょうど一ヶ月くらい前の事だわ。」


「…やっぱり。あの日だよ、ステファニー!ブライアン王子は失敗した後すぐ帰ったからね!」


「そうかもしれないわ。」



ヴァレンティーヌは気にする事なく、その続きを話し始めた。



「それでね、続きがあるの!別の日にブライアン王子の国の海に行ったら、またブライアン王子がいたの!
それから毎日、ブライアン王子と会うことができて…」


「そこで何か話した?」


「話せないわ…!だからずっと見てたの。そしたらあの人も見てくれたわ!」



そう言ってヴァレンティーヌは嬉しそうに笑った。