この日も、いつもと同じように夜の道を歩いて駅まで向かっていった。一月半ばの冷たい風が湊の肌を刺激し、その寒さをしのぐように、湊はマフラーに顔を埋めた。辺りは、いろんな居酒屋やキャバクラなどの店が、客寄せをしている。今日は金曜日。そう、花の金曜日だ。

明日からはお休みの会社も多く、イヤなことを飲んで忘れようという考えの人達がいろんなところで談話したり、ゲームをしてるだろう。しかし、正直に言うと、お酒の場が、湊にとって苦手なことであった。