蒼くんからの謎の冷たい視線に耐えながら、村井くんについて話していく。
「男の子なんだけど、優しくてね。私がため息ついたら、心配してくれてさ。帰りも声かけてくれたんだよ」
「ふぅん……」
明るい口調で話すも、蒼くんの態度は変わらない。反対に、ますます冷たくなったような……。
いつの間にか、完全に私のことなど見なくなってしまった蒼くん。何かいけないことを言ったのだろうか、私は……。
でも今は、先生と千尋と村井くんの話しかしていない。どこにそんな蒼くんの機嫌を損ねるような話題があったのか……。駄目だ、全然分からない。
「名前」
「……え?」
蒼くんについて、今度は別のことで頭を悩ませていると、唐突に蒼くんが単語を漏らした。
いまいち聞き取れなくて聞き返すと、蒼くんは前を向いたまま、
「ソイツの名前。あるんでしょ、何ていうの?」
ぶっきらぼうに問うてきた。……っていうか、蒼くん今、ソイツとか言った!?
いつもの蒼くんらしくなくて、焦りを覚える私。一方蒼くんは、足だけを確実に動かしていた。
とりあえず、名前を聞かれたからには答えた方がいいよね……。一人でうんと頷いた私は、なるべく明るい口調になるように努めて答えた。
「村井くん、っていうんだぁ」
「下の名前は?」
「え? し、下? ……た、拓斗くん」
男の子の下の名前なんて、普段は蒼くんぐらいしか呼ばないので、少し口にしづらい。
蒼くんはやはり「ふぅん」という、聞いてるのか聞いていないのか分かりづらい返事をしたのち、
「村井拓斗、ね。覚えておく、ありがとう」
ニヤリと怪しく笑みを浮かべながら、そんなことを言った。今の笑み……ちょっと怖かった……。
しかし、何がきっかけだかは分からないが蒼くんの機嫌は直ったらしく、
「そういえば図書館まであと少しだね~。よしっ、頑張ろう!」
そんなことを言うと、またいつも通りの可愛い笑顔を浮かべた。今度のは、先ほどのような怖い笑顔じゃない。私は、ちょっと安心した。
小さい頃からよく遊んでたけど……蒼くんについて、分からないことはまだたくさんありそうだ。
蒼くんももう三年生だし、成長したから仕方ないのかもしれないけどね。
「男の子なんだけど、優しくてね。私がため息ついたら、心配してくれてさ。帰りも声かけてくれたんだよ」
「ふぅん……」
明るい口調で話すも、蒼くんの態度は変わらない。反対に、ますます冷たくなったような……。
いつの間にか、完全に私のことなど見なくなってしまった蒼くん。何かいけないことを言ったのだろうか、私は……。
でも今は、先生と千尋と村井くんの話しかしていない。どこにそんな蒼くんの機嫌を損ねるような話題があったのか……。駄目だ、全然分からない。
「名前」
「……え?」
蒼くんについて、今度は別のことで頭を悩ませていると、唐突に蒼くんが単語を漏らした。
いまいち聞き取れなくて聞き返すと、蒼くんは前を向いたまま、
「ソイツの名前。あるんでしょ、何ていうの?」
ぶっきらぼうに問うてきた。……っていうか、蒼くん今、ソイツとか言った!?
いつもの蒼くんらしくなくて、焦りを覚える私。一方蒼くんは、足だけを確実に動かしていた。
とりあえず、名前を聞かれたからには答えた方がいいよね……。一人でうんと頷いた私は、なるべく明るい口調になるように努めて答えた。
「村井くん、っていうんだぁ」
「下の名前は?」
「え? し、下? ……た、拓斗くん」
男の子の下の名前なんて、普段は蒼くんぐらいしか呼ばないので、少し口にしづらい。
蒼くんはやはり「ふぅん」という、聞いてるのか聞いていないのか分かりづらい返事をしたのち、
「村井拓斗、ね。覚えておく、ありがとう」
ニヤリと怪しく笑みを浮かべながら、そんなことを言った。今の笑み……ちょっと怖かった……。
しかし、何がきっかけだかは分からないが蒼くんの機嫌は直ったらしく、
「そういえば図書館まであと少しだね~。よしっ、頑張ろう!」
そんなことを言うと、またいつも通りの可愛い笑顔を浮かべた。今度のは、先ほどのような怖い笑顔じゃない。私は、ちょっと安心した。
小さい頃からよく遊んでたけど……蒼くんについて、分からないことはまだたくさんありそうだ。
蒼くんももう三年生だし、成長したから仕方ないのかもしれないけどね。

