「…ろぉ!ひーろー!!」
「んん…」
「いい加減起きなさい!!!あんた学校でしょ!!!何時だと思ってんの」
「母ちゃん朝から怒鳴んなよー」
「あんたが起きないからでしょ!もう皆来てるわよ!!!」
「やっべー今日日直じゃん!!!母ちゃん弁当いらねーわ!俺もう行くから」

「あ、きたきた。おはよーひろ!」
「はよ!」
「おせぇよ!」
「早く行こーぜ!」
「待たせた。わりぃ!」

ー学校ー
「なぁ聞いたか?今日転校生がくるらしいぜ!?」
「あ!それ私もさっき友達から聞いたー。なんか可哀想な女の子なんでしょ?」
「なんだそれ笑」
「今時珍しいな。もぅ3学期だぞ?」
「急だったんだな!!!」
「いや、それがさー本当に可哀想なんだよ!そいつ、親がいなくて親戚んちに引き取られたんだけどその親戚が死んで、今は一人暮らしなんだって!」
「なんか悲しいね…」
「…」
「…」
「…」
この時俺らはまだ何も知らなかった。
実子…お前は1人でここまで頑張ってきたんだな。
俺は君をすくうために君と出逢ったのかな?
俺たちは君に笑ってほしくて、ただ笑っていてほしくてあの時話しかけたのかな?
俺らは出逢いのチカラで巡り合うことができたのかな?

キーンコーンカーンコーン♪
「お前らー席につけー」
「なぁ、ひろ。どんな奴かな転校生!!!」
「可哀想な奴なんだろ?じゃあ…地味で目がなんか怖くて…貞子みたいなやつなんじゃね?」
「おーい。西島ーうるさいぞー」
「すいませーん。笑」
「ちゃんと先生の話を聞けー。さっきも言ったが今日からこのクラスに1人女子が増えるぞー西野入って来い。」
「くるぞー!貞子が!!!」
「柊太、貞子じゃないけどな笑」

ーガラガラガラ

「ねー西野さんどーしたんだろ?あんなこと言ってたけど…」
「あれはひどいな。友達いらねーって…」
「なんであんなこと言ったんだ?」
「さーな。だけどよ!顔は文句ねーよなー」
「ああ!超かわいい!!!」
「そーか。俺は普通だと思うけどな。」
「真は理想がたけーんだよ!」
「ひろはどう思う?西野さん。」
「あー。可愛い…」
「じゃなくて!!!友達いらないってこと。」
「…なんかひっかかる」
「だよね。なんか西野さん自分を隠してる気がする…」
「でもよー、だからってどーすんだよ。俺たちにはなんもできねーだろ?」
「私、西野さんにいろいろ話しかけてみるね!」
なぁ、実子…あの時君はどんな気持ちで学校に来ていたんだ?
辛かった?苦しかった?
この時の俺たちはまだ、これっぽっちも君の辛さに寄り添ってあげられなかった…