「なんかワケありなんだ。よかったら、思ってること全部吐き出してみる?
全く知らない人だから言えることとかあると思うし」
そんなことを言われるのは初めてで、思わず隣の人をまじまじと見てしまった。
失礼だとは思うけど。
綺麗な、不思議な色合いの澄んだ瞳が、こちらを見ている。
……なんか、冬みたいな色だなぁ。
澄んでいる、透明な感じが冬の空気みたいで、落ち着く……
「家が、息苦しいんだ……」
ぽつぽつと、今まであの家で感じていたこと、思っていたことを言葉にしていく。
その間、目の前の綺麗な男の人はたまに相づちをうちながら、静かに聞いてくれた。
あぁ、やっぱり冬みたいな人だな。
辛くて、苦しくて、あたしを見てくれないあの人たちに対して、淋しいなんて思って。
いつもいつも、表面では普通に過ごしていても、心の中では黒くて、汚くて、醜い感情でグチャグチャだった。


