「別に、ブランコ乗ってるだけ」
綺麗な目だな、と見つめながらそう言ったけど、これは逆に失礼かと思い、視線を前に向ける。
だって初対面の人だしね。
ジロジロ見られたらさすがに不快だわ。
「……オレが聞いたのはそういう意味じゃないんだけど」
どう思ってそう言っているのか……
感情が読み取れないな。
「見た感じ、オレとあんま変わらない年でしょ。こんな時間に出歩いてるなんて危ないよ」
「それはそっちにも言えるじゃん」
「オレは男だから」
話してみると、ちょっと印象変わるかも。
意外にフレンドリーな感じするし。
まぁ口調だけで、声のトーンは淡々としてるんだけど。
「……家に、いたくなかったの」
だからここにいるの、というと男の人は顔色も何も変えずにこちらにきて、隣のブランコに座った。
キィ、という小さな音が、この公園の空気を震わせた。


