「ホントはあのときも、こうやって涙を拭いてあげたかったんだ。
ずっと、こうしたてあげたいって思ってた」
その言葉が嬉しくて、もうそれ以外言葉なんて見つからない。
ずっと、あたしのことを覚えていてくれた。
忘れないでいてくれた。
その思いを、伝えてくれた。
もう、これ以上なんてない……
だから、あたしも。
涙を拭ってくれる手に、自分の手を重ねる。
ほんのりとした温もりを感じられることが、今ここに彼がいるんだって実感となる。
「あのとき、海の底の、暗いところに一人、淋しくいたあたしを、あなたが救ってくれた」
ぎこちなく、でもあたしの本当の笑顔で彼の瞳をしっかりと見つめる。
「あたしにとって、あなたは、あたしに"マリンスノー"という雪のように真っ白で、澄んだ綺麗な光を与えてくれた人なんだよ。
あたしの心を照らしてくれたのが、あなたなの」


