家でまったりココアを飲むのもいいけど、こういうのも悪くないかも。
……寒いけどさ。
飲み終わったココアの缶を近くのゴミ箱へ捨ててブランコへ座る。
揺らしてみると、キィ、とか細い音をたてた。
「はぁ……なーんか、未練がましいなぁ」
何かを思い出してしまうたび、ここに来てしまうなんて。
中学を卒業したときも、高校に入学したときも、高校を卒業したときも。
あと、親と離れて一人暮らしをすることになったときや、就職が決まったとき。
それから、今みたいに……思い出して、会いたくなったとき。
あれからもう、十年が経つのに……
まだ引きずってるんだなぁって思う。
引きずってるって言うと語弊があるけど。
忘れられないっていうのが正しいのかな。
でも仕方がないんだ。
あの人はあたしに、あたしの心に光をくれた人なんだから。


