marine snow





「大丈夫、キミにもあるよ。心を照らしてくれるものが」




ふわ、と男の人が笑顔を浮かべる。



あたしの心を真っ直ぐ見つめるようなその瞳は、大丈夫、我慢しなくてもいいんだよ、って言ってるみたいで。



負けたくない、と意地を張っていたあたしの心を溶かしていく。



でもやっぱり、ちょっと意地は残っているから、あたしは視線を空に向けた。




「、ありがとう……」



「ん、どういたしまして」




ジワ、と視界がぼやけて降っている雪もゆらゆらと揺れる。



喉の奥、熱いものが込み上げてくる。



ツゥ、と頬に冷たいものが伝った。



今までの思いが、外に流れていく。



自分で汚いと、醜いと思っていた心が、少しだけマシになったような気がした。